水曜の夕方、息子の友達から電話。
「ハルキが怪我したからエマージェンシールームに運んだの。すぐに来て!」
私の心臓がパクパクしだした。
何しろ、同級生が事故で即死という悲しい事故の直後である。
落ち着いてきくと、命に別状なく、腕がどうかなってしまったというので車で2分先の総合病院のERに駆けつけた。
駐車場で、この事故の会場(?)となったジョーの家のママが心配そうに待っていて開口いちばん、
「ごめんなさい。私の家の庭で起こってしまったことです」
「こちらこそご迷惑をおかけしました。どこにいても起こるときには起こるものですから、心配しないで下さい」
待合室に着くと、息子の友達十数人も心配そうにたむろっていた。病院の事務員がまず、諸手続きをお願いしますと、真剣に読んでいたら何時間かかるかわからないような書類の山を差し出しサインを求めた。内容はたぶん、治療のあとで文句を言わないとか、治療費はちゃんと払いますといつた、誓約書みたいなものなのだろう。(ウンザリ〜)
中に入ると、点滴に繋がれた息子がベッドで横たわっていた。
安心したと同時に、
三年前の骨折ジケンが頭をよぎりつい「また〜?!」という言葉がでてしまった。
「お母さん、いいから。。。オレお母さんが何いいたいかもうわかっているから、何もいわなくていいから」
聞くところによると、友達とスパーリングしていて転倒したひょうしに相手の子が腕にのっかってしまい激痛が走ったという。あまりに痛がる姿に居合わせたハイスクールキッズがビックリしてすぐにERに連れてきたという。
レントゲンの結果、肘間接の脱臼とのこと。ドクターが「肘は、そう簡単には外れないんですけどね」と微笑んだ。
たいしたことないとわかり、すぐに待合室に戻りみんなに報告した。何よりほっとしていたのは、ジョーのママだった。
ここアメリカ社会では、たわいのないことでもすぐに訴訟になることがあるからか、責任逃れのためにも「我関せず」というパターンが多いなか、ジョーのママは、子を持つ親としていっしょに心配してくれたことに、私はとても好感を持った。こんな厄介ごとのわりには、なんだかとても気分がよかった。
ジョーのママは、話しているといつもサモア人を彷彿とさせる。以前、子どもたちが我が家で遊んでいるとき、「うちの子が悪いことをしたら、どうかひっぱたいてやって下さいね」と言われたことがあり、アメリカ人の発言にしては、有り得ない!と驚いたものだ。
今回の行動パターンもどうも、フツーのアメリカンとちがうと思ったら、プエルトリカンらしい。なるほど……!サモアンを彷彿とさせるのも、まんざらまちがってない。
さて、大事に至らなかったことがわかってから、たむろっているキッズに事情を聞いたら、一部始終を撮影してあるビデオがあるからと、その場で見せてくれた。(さすが今どきのキッズだ)
治療を受けている息子のところに、友達も入っていいよという病院側からの許可がでたので、「心配モード」から一気に「イベントモード」に切り替わった。
(病室なのになんて青春チック!)
待っているあいだに、"Get Well" の風船とお菓子と寄せ書きの書かれたカードがすでに用意されていて、処置室はハイスクールキッズが集うパーティー会場と化した。
大事にならなくて、ほんとによかった。
そして、大切なコンサートが全て終わったあとというのもよかった。
でも、左手が固定されてしまったのでしばらく左手は使えない。
まぁ、この程度の不自由はたまにはいいクスリでしょう。