2007.10.12 Friday
建築家への道を探しに
私たちが住んでいるところから、200kmほど離れたところにある、アナーバー(Ann Arbor)のミシガン大学に行って来た。ミシガン大学は、州立大学としては、全米でも最も高い評価を得ている大学のひとつ。大学の評価はともかくとして、なぜそこに行ったかと言うと……、
我が家の次男は、ハイスクール時代に、設計のクラスを選択科目として勉強して以来、将来はできれば建築家になりたいという夢を持っている。今自宅から通っている地元の大学も総合大学ではあるものの、建築学科はないので、近い将来、建築が勉強できる大学に転校を考えている。アメリカでは、進路の変更や自身の都合に合わせて、途中から大学を変わることができるのがありがたい。 ミシガンの中で建築が勉強できる大学は、そうはない。4人の子どもたちの中でも次男は、自分がすべきことをポンポンと片付けていきたいタイプで、かねてから自身の夢に向かって情報収集をしていた。入学の難易度は高いものの、ミシガン大学には目指す建築コースがあるので、情報を仕入れるため、学部アドバイザーに面会を申し込んでいたのだ。1人で出すには遠いので、私たち夫婦もいっしょに行って来た。 アドバイザーと挨拶を交わすと、「是非ご両親もいっしょに話を聞いて下さい」と、息子といっしょに、部屋に招かれた。息子はあらかじめ準備してきた、今の大学で取得している単位の記録を手渡し、編入するために、どの単位がそのまま認められるか、今の大学であと、どんな単位を取得すると、入後に無駄がないかなどを尋ねた。 建築家への道に必要な情報をいろいろと聞いてみたところ、建築家として一人前になるには、どのみち、大学院で修士号を取得し、3年は社会に出て実地経験を積み、州認定の試験を受けなければならないことがわかった。 つまり、4年生大学でただ建築を勉強しても、建築家として一人前にはなれないらしい。大学院で修士号を取得するまでを考慮して将来設計をしなければならないようだ。話を総合してみると、オプションは2つ。4年生大学のうちから、ミシガン大学の建築科に編入し、さらに大学院に進む方法と、4年生大学は、将来建築に活かせる勉強をしながら今の大学を卒業し、大学院から改めてミシガン大学に進学する方法だ。どちらにもメリット、デメリットがあるようだが、大学院からの方が、断然奨学金のチャンスは大きいとのこと。 一通り、ありがたい情報を仕入れたところで、建築学科の校舎内も親切にアドバイザーが案内して下さった。金曜の午後だというのに、たくさん学生が残って勉強していた。聞くところによると、この学部はとても忙しいので、中には校舎内に“住んでいる”ような状態の学生も多いそうだ。遊ぶ時間どころか、バイトとの両立はたぶん難しいとアドバイザーは言う。“住んでいる”学生のために「シャワー室まであるのよ」と笑った。 学生たちが1人ずつに与えられているワークデスク 講義用の教室はともかく、校舎内の設備は、大学というよりはまるでどこかの工場のような雰囲気で、ありとあらゆる機械や設備が、オープンスペースにところ狭しと並んでいる。学内の設備を見て回るうちに、息子よりも、Mikiがここで勉強したくなってしまったと真剣に言い出す始末。 勉強するところというよりは、どこかの工場内みたい ボタンひとつもプラスティックから型抜きをして作ったオリジナルだという、学生が作った校舎内の休憩用空間 アドバイザーに面会し、来学期からの選択科目にも影響するような、役に立つ情報をたくさん得た。そしてふだん私が目にしている大学生活とは、一風変わった光景を見ることができ、なかなか、興味深い社会見学となった。 「なりたい自分」があるのはとても素敵なことだと思う。そして、それに向かって努力するのも良いことだ。まだまだ若い子どもたちは、これからもコロコロと進路は変えるだろうけど、親の夢を子に託すつもりはない。子どもの夢を応援する親でいられたらと思う。 |